至福のすし―「すきやばし次郎」の職人芸術 (新潮新書)/山本 益博
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すしは、好きであるので、こういう本にも自然と手が伸びる。

生きる伝説となった すきやばし次郎 のご主人、小野次郎氏。

世界最高との呼び声も高い、 すしの名店。

とある 料理人は 飛行機に乗って食事に来るという。

しかし 本書のなかで ひときわ僕の心をとらえた 数行は

そんな はなやかな エピソードではなかった。

それは 店主をして 「あの人は人間国宝です」 といわしめた ある人物の存在。

掃除にこだわる その店では、 ひたすら ふきんで 店内を拭いている 仕事人がいるという。

その ふきんが いつも 真っ白だ、と。

つまり、常に清潔を保ち、 磨き続けるという仕事によって

その場が保たれている、 そればかりか、 一種神妙な気持ちにさせる空間になっているという。

保健所の職員が 思わず  履物を脱いで あがろうとするという その 調理場。

仕事は、 なにをするかじゃない、 どうやってするかなのだ、

と、 文字にするとなんだか はずかしいけれど、

本気でそう思えた  一冊でありました。