史上最強の人生戦略マニュアル/フィリップ・マグロー

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そろそろ僕の人生にも戦略がほしいところだ、

と、ちょうどこの頃思っていたのである。

ちょうどそこへ、今や売れっ子の
勝間和代さんによる解説が飛び込んできたので、
めずらしく立ち読みもせずにレジへと直行。


いわゆる衝動買いは失敗することが多いが、
これはうれしい誤算だった。
読みながら、メモをとらずにはおれなかった。

本書はいわゆる自己啓発本で、
僕はこのたぐいはほとんど読まないことにしている。

というのも数年前に集中的に自己啓発本を読んで、
ほぼ読み尽したように思え、
何度も似たような話を聞かされてうんざりする時のような
満腹なところへ料理を運ばれてくるような感覚になっていたからだ。

だいたい、それらの自己啓発本というのが、
ほとんどイメージだの、無意識だの、超自我だのといった、
自己催眠のすすめの域を出ていないシロモノだった。

思うに、これら数年前の自己啓発本ブームが、
つい最近のスピリチュアルブームに
つながっていたような気がする。

もちろん、スピリチユアリティを全面否定するつもりはないが、
それはあくまでも人間の、ひとつの側面であると思う。

さて、本書は久しぶりに読んだ自己啓発本であったが、
数年前の類書にみられたような、神秘主義的なところはなく、
かといって、科学的主張が強すぎて難解な、
論文じみたものでもなかった。

ようするに、「まとも」なのである。

人生に、もう少し具体的なビジョンを持ちたい、と願い、
また、人間にとってそういう欲求がどんな意味を持っているのか、とか、
人が本当に求めるものはなんなのか、といった思考も含んでいる。

読んでいて自分の欠点、弱点、だめなところと向き合うことができたし、
そのことがむしろ有益なことであることも学んだ。

神秘的なことはないと書いたけれど、
こういう「本当のこと」を書いた自己啓発本なら、
堂々と知り合いにすすめたいと思える。

つまり、紙に書けば実現するとか、
イメージせよとか、
声にだしてなんども唱えろとか、
ともかくポジティブに、肯定的に考えろとか、
毎晩寝る前にああしろこうしろ、
という話ではない。

結局のところ人生というのは、
自分自身と正直に向き合うことなのかも知れない。

本来の自分と正直に向き合い、ごまかしのない目でみつめたとき、
そこになにが見えるのだろうか。

そして、自分は何を見たいのだろうか。

だまされたと思って、
本書をもってカフェにでも行き、
少しだけ真面目に考えてみてほしい。

きっと僕と同じように、
自己反省と、回想と、そして明日への確かな希望を感じるだろうから。


まあ、こういうのを読むたびに、
人間って、つくづく欲深い生き物だなあ、
とも思わないでもないのだけれど(笑)。